クリスチャン新聞に掲載されました 2008.12.7

キリスト教式の葬儀を専門に手がける「クリスチャンセレモニーさいわい企画」が、愛知県春日井市にある。同社の代表、杉浦寿さんに創業の経緯と今後の展望を聞いた。
杉浦さんがさいわい企画を立ち上げたのは、今年の7月。これまで医療事務や音楽関係の出版社での編集、タクシードライバーなどいくつかの仕事をしてきたが、東京に住んでいたドライバー時代に、職業病といわれる肺血栓を患った。

「一時は生死をさまよい、療養生活をしばらく送りました。その時に『ああ、生かされている』と実感しました。」折しも、クリスマス時期。病床から送った懸賞で、教会主催のコンサートが当たり、妻の明世さんと出かけた。「幕間にある牧師のメッセージを聞いて、もっと神様を知りたいと思いました。」早速、地域の教会のいくつかにメールを送った。「結果的に早く返事をくれた教会に通い、イースターには受洗しました。」その後、病気が再発。再発すると生存率が50%以下といわれる病だが、治療のおかげで回復した。

「この生かされた体を神様のために用いられたいと、献身を決意しました。」アルバイトしつつ、神学校の聴講生に。そして、牧師に紹介された葬儀会社でフルタイム働き、神学校では正課生になった。

しかし、今度は椎間板ヘルニアにかかり、神学校での学びも断念せざるを得なくなった。「一歩も先が見えない中で、神様から示されたのが、生まれ故郷で葬儀社を立ち上げること」だったという。「葬儀社は御言葉を取り次ぐことはできないが、故人の最後の思いを葬儀を通して伝える助けにはなれると思ったのです」。また、以前に東京で葬儀会社に勤めていた時代、最後のお別れという状況だけに、「参列者の心にメッセージがストレートに届いている」という経験を何度もしていた。示されて数ヶ月。「神様は備えてくださっていた」と語るように、葬儀社に必要な花屋や棺など取引業者との契約も順調に整った。

開業にあたり、個々人の経済状況に合わせた葬儀プランを作るなど、以前の経験を生かしてさいわい企画の独自色を打ち出す。

「前夜式をやり、献花、遺影も必要と思い込んでいる方も多いです。しかし、天に召された方とのお別れの式。ならば、『最後の証の場』として捉えてもよい。何よりも、神様が中心にいる葬儀をと考えています」と杉浦さん。

また、クリスチャンでない人の葬儀も依頼があれば受け入れている。「東海地区は寺も多く、仏教徒も多いですがそういった方々に、死の先にある希望と共にいてくださる神様を伝えるよい機会でもあります。福音に触れ、キリストにつながるお手伝いを葬儀社という立場からできればと願っています。

その一助として、「私のエンディングノート」を同社では配布している。「日本では死をテーマにする話は敬遠されていますが、いずれはだれもが通る道。キリスト教こそが打ち出せる死生観と復活の希望を伝えられるのが牧師。家族、あるいは教会でそれらを話し合うきっかけになればとも思うのです」とエンディングノートについて話す。「様々なかたちで教会と協力関係を築いていきたい」とも。

牧師への道は開かれなかったが、「一番苦しく、また悲しいところにイエス様が愛を注いで手を差し伸べてくださったように、教会と一つ思いになり、この地域に使える思いでこの働きを進めていきたい。中部、北陸、呼んでくださいましたらどこでも行きます」と。